【塾の見解】数学における文章問題の読み方(2次方程式①)
分割して掲載した「数学における文章問題の読み方(2次方程式①)」をまとめました。
2次方程式の文章問題の読み方について福島県高校入試問題の過去問を使って考えてみます。なお、文章問題で使われる「お約束の表現」に関しては掲載済みの「連立方程式」シリーズも参考にして下さい。
次の問題文を読んで,下の問いに答えるためには,どのように読み解けばよいのかを考えなさい。
【問題文】
一週間が日曜日で始まり土曜日で終わるカレンダーで,月初めの1日が月曜日で月末の31日が水曜日の月がある。このカレンダーの中のある数をxとする。
xの真下の数にxの左どなりの数をかけて15を加えた数は,xに16をかけて13をひいた数と等しくなる。
このとき,このカレンダーのある数xを求めなさい。なお答えを求める過程も書きなさい。
方程式の文章題のスタートラインは「何を文字にするか」ですが、この問題では文中で指定済みです。
【問い】
方程式にできるのはどの部分ですか。
「は」と「等しく」が等号を主張
【問題文】
一週間が日曜日で始まり土曜日で終わるカレンダーで,月初めの1日が月曜日で月末の31日が水曜日の月がある.
この(a)カレンダーの中のある数を(b)xとする。
(c)xの真下の数にxの左どなりの数をかけて15を加えた数 (d)は,(e)xに16をかけて13をひいた数と(f)等しくなる。
このとき,このカレンダーのある数x(g)を求めなさい。なお答えを求める過程も書きなさい。
読解(読み方のポイント)
等号(=)を示すお約束の表現だった下線部dの「は」と,下線部fの「等しく」がガッチリとタッグを組んで(下線部c)=(下線部e)であることを強烈に主張していますのでまったく疑問の余地はありません。式を作るのも「かけて」,「加えた」,「ひいた」と,そのものズバリの表現ですからとても親切な問題です。しかも,連立方程式ではなく2次方程式ですから,作る式は1本だけで済んでしまいます。
でも,これだけ簡単そうに見える問題の正答率は36.0%と以外に低調な結果に終わっているのです。もちろんこの問題の部分正答率は22.5%もありましたから,全体で6割近くの受験生が点をゲットしていることにはなり,この数字は文章問題としては比較的高めの数字ですので,やはり問題自体の難易度はそれほど高いものではないといえます。解答の過程を要求する文章問題では答えのみでの得点は認められませんから,部分正答の受験生の割合が2割を超えるということは,方程式が完成していても答えが違っていることを意味します。実は,ここにこの問題のポイントがあるのです。それは方程式が2次方程式であることと,カレンダーの問題に特有の条件があることなのですが次回の問題でチャレンジして下さい。
読み取りのトレーニング
問題文を読むための訓練として、前述の内容を踏まえた上で語句の意味,考え方,文字や式で表すことの可能な部分をできるだけ問題にしてあります。問題そのものに重要なポイントが含まれているものもありますので1つ1つ考えてみましょう。
【注】使用する文字はxだけとします。文中のアルファベットの( )は下記の問題作成のために挿入したもので,問題文そのものとの関係はありません。
【問題文】
一週間が日曜日で始まり土曜日で終わるカレンダーで,月初めの1日が月曜日で月末の31日が水曜日の月がある。
このカレンダーの中のある数をxとする。
(a)xの真下の数に(b)xの左どなりの数を(c)かけて15を加えた数は,(d)xに16をかけて13をひいた数と(e)等しくなる。
このとき,このカレンダーのある数xを求めなさい。なお(f)答えを求める過程も書きなさい。
(1) 下線部aの数を式で表しなさい。
(2) 下線部aの数を式で表すときに注意しなければならないポイントは何ですか。
(3) 下線部bの数を式で表しなさい。
(4) 下線部bの数を式で表すときに注意しなければならないポイントは何ですか。
(5) 下線部cの数を式で表しなさい。
(6) 下線部dの数を式で表しなさい。
(7) 下線部eの方程式を作りなさい。
(8) 下線部eの方程式を解くときの注意事項は何ですか。
(9) 下線部fに必要なのは上記のどれなのかを示し,答えも求めなさい。
カレンダーの問題に特有の条件
【注】使用する文字はxだけとします。文中のアルファベットの( )は下記の問題作成のために挿入したもので,問題文そのものとの関係はありません。
【問題文】
一週間が日曜日で始まり土曜日で終わるカレンダーで,月初めの1日が月曜日で月末の31日が水曜日の月がある。
このカレンダーの中のある数をxとする。
(a)xの真下の数に(b)xの左どなりの数を(c)かけて15を加えた数は,(d)xに16をかけて13をひいた数と(e)等しくなる。
このとき,このカレンダーのある数xを求めなさい。なお(f)答えを求める過程も書きなさい。
【解答】
(1) 下線部aの数を式で表しなさい。
x+7
(2) 下線部aの数を式で表すときに注意しなければならないポイントは何ですか。
カレンダーは31日までなので,x+7<32,つまり x<25 であること。
(3) 下線部bの数を式で表しなさい。
x-1
(4) 下線部bの数を式で表すときに注意しなければならないポイントは何ですか。
月初めの1日が月曜日で,一週間が日曜日で始まり土曜日で終わるカレンダーでは,1日と日曜日の7,14,21,28日には左どなりの数が存在しないこと。
(5) 下線部cの数を式で表しなさい。
(x+7)(x-1)+15
(6) 下線部dの数を式で表しなさい。
16x-13
(7) 下線部eの方程式を作りなさい。
(x+7)(x-1)+15=16x-13
(8) 下線部eの方程式を解くときの注意事項は何ですか。
2次方程式の計算の結果として求められた数であっても,25以上の数と1,7,14,21および0以下の数は答えにならないこと。
(9) 下線部fに必要なのは上記のどれなのかを示し,答えも求めなさい。
解答で記述が必要なのは(1),(3),(7),(4)で,方程式の解は x=3,x=7 だが,(4)の条件により,ある数xは3となる。