【塾の見解】数学における文章問題の読み方(連立方程式⑤)

分割して掲載した「数学における文章問題の読み方(連立方程式⑤)」をまとめました。

「文章問題表現」をチェックする

前回までに登場した「文章問題表現」を確認しておきましょう。

【等号】「同じ」,「等しい」,「~は」,「~すると」,「~したところ」,「~すれば」

【加法】「和」,「合計」,「全部」,「全員」,「合わせて」,「より多い」,「増えた」,

「~のうち」,「(全体)を分ける」

【減法】「差」,「より少ない」,「減った」

【乗法】「倍」,「%」,「割」,小数

【除法】分数

 

次の問題文を読んで,下の➀,➁の問いに答えるためには,どの語句に注目しながら読み解けばよいのかを考えましょう(使用する文字はxとyの2種類とします)。

【問題文】

ある中学校で,花だんに4種類の花,A,B,C,Dの苗を,合わせて240本植えた。

この4種類の花の苗の数は,多いほうからA,B,C,Dの順であった。

それぞれの苗の数をみると,Bの数はDの数の3倍,Cの数は全体の数の4分の1であった。また,AとDの数の差はBとCの数の差の5倍であった。

このとき,AとBの苗の数をそれぞれ求めなさい。なお答えを求める過程も書きなさい。

 

➀ 何を文字にしますか。

➁ 方程式にできるのはどの部分ですか。

 

「主語の入れ替え」&「複雑な表現に着目」

次の問題文を読んで,下の➀,➁の問いに答えるためには,どの語句に注目しながら読み解けばよいのかを考えましょう(使用する文字はxとyの2種類とします)。

【問題文】

ある中学校で,花だんに4種類の花,A,B,C,Dの苗を,(a)合わせて (b)240植えた。

この4種類の花の苗の数(c),多いほうからA,B,C,Dの順であった。

それぞれの苗の数をみると,(d)Bの数 (e) (f)Dの数の3倍(g)Cの数 (h) (i)全体の数の4分の1であった。また,(j)AとDの数の差 (k) (l)BとCの数の差の5倍であった。

このとき,(m)AとBの苗の数 (n)をそれぞれ求めなさい。なお答えを求める過程も書きなさい。

読解(読み方のポイント)

何を文字にしますか。

お約束の表現の下線部nから,Aの苗の数をx本,Bの苗の数をy本とします。

方程式にできるのはどの部分ですか。

下線部aの「合わせて」は『』を示す表現ですから,この部分で A+B+C+D=240 という方程式が作られるはずだと気づくのは,そう難しいことではないと思います。でも,A,B,C,Dそれぞれの苗の数をどのように文字や式で表すのかについては,もう少し文章を読み進める必要があります。

実はこの問題文の中には,等号(=)を示すことが基本の「」という表現の部分が,なんと下線部c,下線部e,下線部h,下線部kの4箇所もあるのです。まったく同じ単語だからといって,それがまったく同じ内容を意味するとは限らないことについては,これまで十分に修行を積んできてはいますが,これだけ大量に同じ表現が集まっているときには要注意です。1つひとつじっくりと読み取っていきましょう。

まず下線部cです。直後の内容から,ここではそれぞれの数の大小関係を表現しているだけだと判断できます。式で表せば A>B>C>D という不等式ですから,最終的な答えを決定するときの条件になることはあっても,これが方程式になることはありません。2つ目は下線部eです。これはBとDの苗の数の関係を述べた部分で,確かにイコールの関係は成立するのですが,両辺で使われるのが同じ文字1種類だけですから,入試問題の連立方程式でこれが一方の式となるとは思えません。ここでちょっと下線部dと下線部fに注目して下さい。もし,Dの苗の数がx本またはy本と表されているのならば何の問題もないのですが,さすがに入試問題ではそう簡単には済ませてはくれません。そこで、こういうときの読解テクニックとして「主語の入れ替え」を覚えておきましょう。下線部d,e,fの部分の主語は「Bの数」ですが,これを「Dの数」と入れ替えてみれば,なんとなくその先が見えてきませんか。

つぎに下線部hですが,全体の数は問題文の中ですでに提示されているのですから,下線部iから下線部gを具体的な数字として求めることは暗算の世界です。となると残るのは下線部kのみとなります。ここで(下線部j)=(下線部l)という方程式ができなければ,他にはもう方程式を作れるところがありません。下線部cが方程式にならないのは明らかでした。では下線部e,h,kの中で,kだけが方程式として成立するための日本語の表現的なポイントは何なのでしょうか。ここで「」をはさむ下線部d,f,下線部g,iと下線部j,lを比べてみましょう。下線部j,lの部分が他の部分よりも複雑な表現になっていることに気づきませんか。入試レベルの文章問題では、左辺と右辺をそれぞれ異なった文字や文字式として表すために,どうしても表現を複雑にすることが多くなってしまうのです。そこで「候補が多数のときは複雑な表現に着目」も読解のテクニックの1つとして記憶しておきましょう。

 

読み取り演習

問題文を読むための訓練として、前回の内容を踏まえた上で文字や式で表すことの可能な部分について、あえて分かり切った内容も含めて問題にしてみました。入試問題の文章はそれほどシンプルではないことが多いので,直接解答に関わらないような部分でも読み取りの訓練の一環として、読み取った順に1つひとつ文字や式に変換する努力を積み重ねるようにしましょう。

【注】使用する文字は問題順にxとy,またはxだけとします。文中のアルファベットの( )は下記の問題作成のために挿入したもので,問題文そのものとの関係はありません。

【問題文】

ある中学校で,花だんに4種類の花,A,B,C,Dの苗を, (a)合わせて240本植えた。

この4種類の花の苗の数は,多いほうからA,B,C,Dの順であった。

それぞれの苗の数をみると,(b)Bの数はDの数の3倍(c)Cの数は全体の数の4分の1であった。また,(d)AとDの数の差 (e) (f)BとCの数の差の5倍であった。

このとき,AとBの苗の数をそれぞれ求めなさい。なお(g)答えを求める過程も書きなさい

 

「=」 になる 「は」 を読み取る

(1) 何を文字にしますか。

(2) 下線部aは何を意味しますか。

(3) 下線部bについてDを主語にして言い換え,Dの苗の本数を式で表しなさい。

(4) 下線部cからCの苗の本数を式で表しなさい。

(5) 下線部aの240本を使って方程式を作りなさい。

(6) 下線部dを式で表しなさい。

(7) 下線部fを式で表しなさい。

(8) 下線部eは何を示しますか。またそのことから導かれる式を作りなさい。

(9) 下線部gに必要なのは上記のどれなのかを示し,答えも求めなさい。

 

【解答】

(1) 何を文字にしますか。

AとBの苗の数をそれぞれx本,y本とする。

(2) 下線部aは何を意味しますか。

A,B,C,Dそれぞれの苗の本数の『和(合計)』が240本であること。

(3) 下線部bについてDを主語にして言い換え,Dの苗の本数を式で表しなさい。

Dの数はBの数の3分の1

(y÷3)本

(4) 下線部cからCの苗の本数を式で表しなさい。

(240÷4)本

(5) 下線部aの240本を使って方程式を作りなさい。

x+y+(240÷4)+(y÷3)=240

(6) 下線部dを式で表しなさい。

x-(y÷3)

(7) 下線部fを式で表しなさい。

{y-(240÷4)}×5

(8) 下線部eは何を示しますか。またそのことから導かれる式を作りなさい。

『イコール(=)』

x-(y÷3)={y-(240÷4)}×5

(9) 下線部gに必要なのは上記のどれなのかを示し,答えも求めなさい。

解答で記述が必要なのは(1),(3),(4),(5),(8)で,答えはAの苗の数が84本,Bの苗の数が72本。