【塾の見解】数学における文章問題の読み方(連立方程式③)

分割して掲載した「数学における文章問題の読み方(連立方程式③)」をまとめました。

「文章問題表現」をチェックする

前回までに登場した「文章問題表現」を確認しておきましょう。

【等号】「同じ」,「等しい」,「~は」,「~すると」,「~したところ」

【加法】「和」,「合計」,「全部」,「全員」,「合わせて」,「より多い」,「増えた」,

「~のうち」

【減法】「差」,「より少ない」,「減った」

【乗法】「倍」,「%」,「割」,小数

【除法】分数

 

次の問題文を読んで,下の➀,➁の問いに答えるためには,どの語句に注目しながら読み解けばよいのかを考えましょう(使用する文字はxとyの2種類とします)。

 

【問題文】

ある会議をひらくためにテーブルといすを準備した。1つのテーブルにだけは3人がすわり,ほかの各テーブルには4人ずつすわれば,予定した出席者全員がすわれるはずであった。

ところが,出席者が予定した人数より10人増えたため,テーブルの数はそのままにして,いすの数を増やし,すべてのテーブルに5人ずつすわることにした。しかし,それでも1人分の席が足りず,1つのテーブルにだけは6人がすわるようにしたところ,全員がすわれた。

このとき,準備したテーブルの個数と,予定した出席者の人数を求めなさい。なお答えを求める過程も書きなさい。

 

➀ 何を文字にしますか。

➁ 方程式にできるのはどの部分ですか。

 

同じ言葉でもまったく同じ内容とは限らない

次の問題文を読んで,下の➀,➁の問いに答えるためには,どの語句に注目しながら読み解けばよいのかを考えましょう(使用する文字はxとyの2種類とします)。

【問題文】

ある会議をひらくためにテーブルといすを準備した。(a)1つのテーブルにだけは3人がすわり,(b)ほかの各テーブルには4人ずつ (c)すわれば(d)予定した出席者 (e)全員がすわれるはずであった。

ところが,(f)出席者が予定した人数より10人増えたため,テーブルの数はそのままにして,いすの数を増やし,すべてのテーブルに(g)5人ずつすわることにした。しかし,それでも1人分の席が足りず,(h)1つのテーブルにだけは6人がすわるように(i)したところ(j)全員がすわれた。

このとき,(k)準備したテーブルの個数と,(l)予定した出席者の人数 (m)を求めなさい。なお答えを求める過程も書きなさい。

読解(読み方のポイント)

➀ 何を文字にしますか。

基本どおり,答えを要求する表現の下線部mに着目し,「~を」にあたる下線部kをx個,下線部lをy人とします。

➁ 方程式にできるのはどの部分ですか。

この問題文の中には「すわれば(下線部c)」と「したところ(下線部i)」という表現があります。「連立方程式②」の問題で見たように「AするとBになる」という言い方はそのまま『A=B』を示すことになるのが基本でしたから,「~すると」と同義語の「~すれば」や「~したところ」も,やはり等号(=)を示すお約束の表現ということになります。では,下線部cのところではいったい何と何がイコールなのでしょうか。ここで下線部eの「全員」に注目して下さい。この「全員」という表現は「合計」,つまり『』を表すのが基本ですから,下線部cと下線部eをヒントにして作られる方程式は,(下線部a)+(下線部b)=(下線部d)と読み取ることができます。

つぎに,下線部iの部分ではどのような方程式ができるのでしょうか。問題文を読み進めていくと,こちらの文章の中にも下線部jの部分に「全員」という表現がでてきますから,実はもう1つの方程式も前述の方程式と同じ形になることがわかります。そこで作られる方程式は(下線部g)+(下線部h)=(下線部j)となりますが,下線部gを式で表すときには少しばかり注意が必要です。また,下線部eの「全員」と下線部jの「全員」が同じではない,つまり下線部eが示すのは下線部dで,下線部jが示すのは下線部fであることには,特に注意するようにしましょう。まったく同じ言葉だからといって,それがまったく同じ内容を意味するとは限らないのです。

読み取り演習

テーブルの数とそこに座る人数の関係については、問題文の読み取りと解釈のしかたに注意が必要となります。問題文を読むための訓練として、前回の内容を踏まえた上で文字や式で表すことの可能な部分について、あえて分かり切った内容も含めて問題にしてみました。入試問題の文章はそれほどシンプルではないことが多いので,直接解答に関わらないような部分でも読み取りの訓練の一環として、読み取った順に1つひとつ文字や式に変換する努力を積み重ねるようにしましょう。

【注】使用する文字は問題順にxとyの2種類とします。文中のアルファベットの( )は下記の問題作成のために挿入したもので,問題文そのものとの関係はありません。

【問題文】

ある会議をひらくためにテーブルといすを準備した。(a)1つのテーブルにだけは3人がすわり,ほかの各テーブルには4人ずつすわれば(b)予定した出席者 (c)全員がすわれるはずであった。

ところが,(d)出席者が予定した人数より10人増えたため,テーブルの数はそのままにして,(e)いすの数を増やし,(f)すべてのテーブルに5人ずつすわることにした。しかし,それでも1人分の席が足りず,1つのテーブルにだけは6人がすわるようにしたところ,(g)全員がすわれた

このとき,準備したテーブルの個数と,予定した出席者の人数を求めなさい。なお(h)答えを求める過程も書きなさい

 

(1) 何を文字にしますか。

(2) 下線部aは何を意味しますか。

(3) 下線部bの出席者数を何人としますか。

(4) 下線部a,b,cの方程式を作りなさい。

(5) 下線部dの人数を式で表しなさい。

(6) 下線部eは何を表しますか。

(7) 下線部fは何を意味しますか。

(8) 下線部gの全員の人数はどの下線部を示しますか。またそれを式で表しなさい。

(9) 下線部f,gの方程式を作りなさい。

(10) 下線部hに必要なのは上記のどれなのかを示し,答えも求めなさい。

テーブルの数とそこに座る人数の関係に注意

【問題文】

ある会議をひらくためにテーブルといすを準備した。(a)1つのテーブルにだけは3人がすわり,ほかの各テーブルには4人ずつすわれば(b)予定した出席者 (c)全員がすわれるはずであった。

ところが,(d)出席者が予定した人数より10人増えたため,テーブルの数はそのままにして,(e)いすの数を増やし,(f)すべてのテーブルに5人ずつすわることにした。しかし,それでも1人分の席が足りず,1つのテーブルにだけは6人がすわるようにしたところ,(g)全員がすわれた

このとき,準備したテーブルの個数と,予定した出席者の人数を求めなさい。なお(h)答えを求める過程も書きなさい

【解答】

(1) 何を文字にしますか。

準備したテーブルの個数をx個,予定した出席者の人数をy人とする。

(2) 下線部aは何を意味しますか。

予定した出席者がx個のテーブルにそれぞれ4人ずつすわると1つ席が余る。つまり予定した出席者は(4x-1)人であることを意味している。

(3) 下線部bの出席者数を何人としますか。

y 人

(4) 下線部a,b,cの方程式を作りなさい。

4x-1=y

(5) 下線部dの人数を式で表しなさい。

(y+10)人

(6) 下線部eは何を表しますか。

下線部dの人数

(7) 下線部fは何を意味しますか。

下線部dの人数がx個のテーブルにそれぞれ5人ずつすわると1つ席が不足,つまり下線部dの人数が(5x+1)人であることを意味している。

(8) 下線部gの全員の人数はどの下線部を示しますか。またそれを式で表しなさい。

下線部d

(y+10)人

(9) 下線部f,gの方程式を作りなさい。

y+10=5x+1

(10) 下線部hに必要なのは上記のどれなのかを示し,答えも求めなさい。

解答で記述が必要なのは(1),(2),(4),(7),(9)で,答えは準備したテーブルの個数が8個,予定した出席者の人数が31人。