う~ん、座布団3枚だぁ!

受験シーズンに入って高校入試の過去問などで英語の長文問題の演習を進めていくと

「入試の対話文とか長文って内容が似たり寄ったりですよネ?」

とか

「選択問題だと選択肢だけで答えが分かっちゃうときがあります」

と言う受験生がでてきます。確かに登場人物のほとんどが「良い子の中学生」だったり、スピーチの中身が前向きだったりと、内容の結末が見えやすい問題が多いのかもしれません。

 

だいぶ以前のことなのですが、他都道府県の公立高校入試問題で問題演習を進めていたときに思わず吹き出してしまった長文問題がありました。残念ながらそのときの問題は手元に残っていないのですが、その内容は今でも印象深く記憶に残っています。若干の誇張はありますがそれは大体次のようなお話でした(ほとんど日本語ですけど)。

 

あるところに小学生の兄と妹がいました。

妹は学校から帰るとすぐに勉強を済ませるような早寝早起きのとても良い子でした。

お兄ちゃんにはきちんとしたところがなく、ろくろく勉強もせずに夜遅くまで起きているので、朝はなかなか起きられません。

心配した父親がお兄ちゃんに言います。

「The early bird catches the worm. という諺(ことわざ)を知ってるか? 世の中には早起きするといいことがあるんだぞ」

―――直訳では『早起きの鳥は虫を捕える』ですが、日本の諺では『早起きは三文の得』となります。ここまではよくあるお説教パターンなのですが、ここから先が入試問題には珍しい展開になります。カッコ内はこの英文を読んだ時の心の声です―――

これを聴いたお兄ちゃんはすかさず反撃に出ます。

「だって父ちゃん、その虫は早起きしたから鳥に捕まったんじゃないか!」

(おおっ、なかなか言うじゃないか少年。君に座布団を1枚あげよう。さぁどうするんだ、父ちゃん?)

すると父ちゃんは、息子のこの鋭いツッコミにも慌てることなく言うのです。

「その虫はな、前の晩に夜遊びしてて朝帰りなんだよ」

(う~ん、父ちゃんに座布団3枚だぁ!)

小学生の息子は父ちゃんの言葉に思わず納得させられてしまいましたとさ。

(やるなぁ、父ちゃん。でも、これっていわゆる詭弁ってヤツじゃないのかなぁ?)

 

受験ですから面白いも面白くないもなく、正解できるかどうかが肝心なことではあるのですが、公立高校の入試問題としてはとても楽しい長文でした。もう1度読んでみたいなぁと思うのですがどこかに残っていないものでしょうか。