ちょっと聴いてください!

「私 だと思ったんです」

平成18年度の県立高校の入試当日のことでした。受験後直行で塾にやって来たKさん、

「ちょっと聴いてください!」

といきなり国語の入試問題を広げて古典の問題を指さします。見れば

『備前の国岡山に、そこにべといふ魚あり。余国にまれなり。太守宇喜多直家より、芸州小早川隆景、備中笠岡の城におはしける時、かの魚を送らるる。………』

で始まる文語文「醒睡笑」の内容のまとめとして

『宇喜多直家から小早川隆景のもとに「  ①  」が送られてきた。………』

とあって、それに続く設問が

『①にあてはまる最も適当な言葉を本文中(文語文)から八字でそのまま書き抜きなさい』

でした。Kさんが言うには

「私 だと思ったんです」

「?????」

「魚の名前が だと思ったんです」

「だってそこにべでしょ?」

「だからぁ、そこにぃ、 という魚があったって思っちゃったんですぅ」

「………」

「字数が合わなくて悩んじゃいましたよぉ」

「………」

 

入試問題の文語文の内容のまとめは

『その場に集まった皆は、従者が ③ と誤解したのだと察し、大笑いした。』

で終わっています。

Kさんの話も大笑いになってしまったのですが、果たして出題者は受験生に魚の名前を  だと勘違いさせることまで狙っていたのでしょうか。