【塾の見解】福島県立高校入試 理科(化学①その2)

入試問題の作為を読み取る

(1)砂糖のように,水にとかしたときに電流が流れない物質を何というか。

(2)電気を帯びていない1個の原子が,電気を帯びた原子になるときに失ったり受け取った

りするものは何か。

(3)塩化銅や水酸化ナトリウムの水溶液に電流が流れたのはなぜか。

(4)①塩化銅水溶液に電流を流したとき,陽極および陰極に見られるようす(選択問題)。

②水酸化ナトリウム水溶液に電流を流したときに陽極に発生した気体と同じ気体を発

生させる方法は何か。

入試問題では1つの大問の中に4,5問の問題が組み込まれ,その中の最後の問題がメインとなるのがふつうですが,この問題では特に(4)の②だけのために他の問題が意図的に配置されているように思えます。(1)から(4)の①まではすべて中3の学習内容のイオンの問題を並べておいて,(4)の②もイオンで考えさせ『陽極に移動するのはOH⁻』と誘導しようという作為が感じられるのです。中学の教科書では『このとき陽極では水酸化物イオンが電子を失って水と酸素になる』と習うことはありませんから,この問題の内容が中2で学習する『水の電気分解』と判断できなければ,発生した気体が何かで悩むことになります。

出題者にとって難しい応用問題を作ることはいくらでも可能なのだと思うのですが,入試では応用問題以前に基本事項がきちんと理解されているのかどうかを優先的に試したいのではないでしょうか。『基本=簡単』ということではなく,基本をもう一度しっかり押さえ直すことから受験対策をスタートさせたいものです。パッと見ただけで先入観にとらわれたまま問題を考えることのないよう,基本となるポイントはひとつひとつ正確に把握しておきましょう。