【塾の見解】数学における文章問題の読み方(連立方程式⑥)

分割して掲載した「数学における文章問題の読み方(連立方程式⑥)」をまとめました。

「文章問題表現」&「読解テクニック」をチェックする

前回(①②③④⑤)までに登場した「文章問題表現」と「読解テクニック」を確認しておきましょう。

【等号】「同じ」,「等しい」,「~は」,「~すると」,「~したところ」,「~すれば」

【加法】「和」,「合計」,「全部」,「全員」,「合わせて」,「より多い」,「増えた」,

「~のうち」

【減法】「差」,「より少ない」,「減った」

【乗法】「倍」,「%」,「割」,小数

【除法】分数

【読解テク】「主語の入れ替え」,「候補が多数のときは複雑な表現に着目」

 

次の問題文を読んで,下の➀,➁の問いに答えるためには,どのように読み解けばよいのかを考えましょう(使用する文字はxとyの2種類とします)。

【問題文】

A,B2つのカップがある。これらのカップを使って水をくみ出すことにした。

はじめに,Aを3回,Bを2回使って水をくみ出したところ,その量は合わせて680mlであった。

次に,Aを4回,Bを3回使って水をくみ出したところ,その量は前のときより280ml多かった。

ただし,A,Bのカップを使って1回にくみ出した水の量は,それぞれ毎回同じとする。

このとき,A,Bのカップを使って1回にくみ出した水の量をそれぞれ求めなさい。なお答えを求める過程も書きなさい。

➀ 何を文字にしますか。

➁ 方程式にできるのはどの部分ですか。

 

このレベルの問題は得点を100%確保しよう

次の問題文を読んで,下の➀,➁の問いに答えるためには,どのように読み解けばよいのかを考えましょう(使用する文字はxとyの2種類とします)。

【問題文】

A,B2つのカップがある。これらのカップを使って水をくみ出すことにした。

はじめに,(a)Aを3回(b)Bを2回使って水をくみ出(c)したところ,その量は(d)合わせて (e)680mlであった。

次に,(f)Aを4回(g)Bを3回使って水をくみ出(h)したところ,その量は前のとき(i)より280ml(j)多かった

ただし,A,Bのカップを使って1回にくみ出した水の量は,それぞれ毎回同じとする。

このとき,(k)A,Bのカップを使って1回にくみ出した水の量 (l)をそれぞれ求めなさい。なお答えを求める過程も書きなさい。

 

読解(読み方のポイント)

➀ 何を文字にしますか。

下線部lの直前を見て,Aのカップを使って1回にくみ出した水の量をxml,Bのカップを使って1回くみ出した水の量をymlとします。

➁ 方程式にできるのはどの部分ですか。

ここまでひたすら修行に励んできたみなさんには申し訳がないような問題です。何のひねりもなく,入試問題としては珍しくとてもストレートな出題となっています。実際の正答率は69.5%で,部分正答も含めると実に83.9%の受験生がこの問題で点をゲットしています。同じ年度の2番(1)の「縦の長さが4cm,横の長さがacmの長方形の周の長さを,aを使った式で表しなさい」という問題の得点率が71.7%だったことを考えれば,この問題の文章問題としてのレベルがどれほどのものかが見えてきそうです。

お約束の表現下線部cの「したところ」が等号(=)を示し,ご親切にもこれまたお約束の表現下線部dの「合わせて」『和』であることを示してくれています。ここで作られる方程式は (下線部a)+(下線部b) = (下線部e) となります。

もう1つの方程式も,下線部hが下線部cとまったく同じ表現の「したところ」です。まったく同じ単語だからといって,それがまったく同じ内容を意味するとは限らないことについては,これまで十分過ぎるほど修行を積んできてはいますが,さすがにここでは同じ意味以外に解釈のしようがありません。前の式と同じパターンですから,方程式の左辺は下線部fと下線部gの『和』。右辺についても,お約束の表現下線部i,jの「より多かった」から『和』となることが示されています。

ところで,このように受験生の得点率の高い問題で点を落とすことは,受験の結果に大きく響いてくることにもなりかねませんから,得点を100%確保できるようしっかりと対応していきましょう。

 

読み取り演習

問題文を読むための訓練として、前回の内容を踏まえた上で文字や式で表すことの可能な部分について、あえて分かり切った内容も含めて問題にしてみました。入試問題の文章はそれほどシンプルではないことが多いので,直接解答に関わらないような部分でも読み取りの訓練の一環として、読み取った順に1つひとつ文字や式に変換する努力を積み重ねるようにしましょう。

【注】使用する文字は問題順にxとy,またはxだけとします。文中のアルファベットの( )は下記の問題作成のために挿入したもので,問題文そのものとの関係はありません。

【問題文】

A,B2つのカップがある。これらのカップを使って水をくみ出すことにした。

はじめに,(a)Aを3回(b)Bを2回使って水をくみ出したところ,その量は(c)合わせて680mlであった。

次に,(d)Aを4回(e)Bを3回使って水をくみ出したところ,(f)その量(g)前のときより(h)280ml多かった

ただし,A,Bのカップを使って1回にくみ出した水の量は,それぞれ毎回同じとする。

このとき,A,Bのカップを使って1回にくみ出した水の量をそれぞれ求めなさい。なお(i)答えを求める過程も書きなさい

 

(1) 何を文字にしますか。

(2) 下線部aと下線部bの水の量を式で表しなさい。

(3) 下線部cは何を意味しますか。

(4) 下線部cを方程式にしなさい。

(5) 下線部dと下線部eの水の量を式で表しなさい。

(6) 下線部fの水の量を式で表しなさい。

(7) 下線部gはどの下線部を示しますか。

(8) 下線部gの水の量はいくらですか。

(9) 下線部hは何を意味しますか。

(10) 下線部hの方程式をつくりなさい。

(11) 下線部iに必要なのは上記のどれなのかを示し,答えも求めなさい。

 

解答

【問題文】

A,B2つのカップがある。これらのカップを使って水をくみ出すことにした。

はじめに,(a)Aを3回(b)Bを2回使って水をくみ出したところ,その量は(c)合わせて680mlであった。

次に,(d)Aを4回(e)Bを3回使って水をくみ出したところ,(f)その量(g)前のときより(h)280ml多かった

ただし,A,Bのカップを使って1回にくみ出した水の量は,それぞれ毎回同じとする。

このとき,A,Bのカップを使って1回にくみ出した水の量をそれぞれ求めなさい。なお(i)答えを求める過程も書きなさい

 

(1) 何を文字にしますか。

A,Bのカップを使って1回にくみ出した水の量をそれぞれxml,ymlとする。

(2) 下線部aと下線部bの水の量を式で表しなさい。

aは3xml,bは2yml

(3) 下線部cは何を意味しますか。

下線部aと下線部bの水の量の『和(合計)』が680mlになること。

(4) 下線部cを方程式にしなさい。

3x+2y=680

(5) 下線部dと下線部eの水の量を式で表しなさい。

dは4xml,eは3yml

(6) 下線部fの水の量を式で表しなさい。

(4x+3y)ml

(7) 下線部gはどの下線部を示しますか。

下線部c

(8) 下線部gの水の量はいくらですか。

680 ml

(9) 下線部hは何を意味しますか。

下線部fが下線部gと下線部hの『和』であること。

または,下線部fと下線部gの『差』が下線部hであること。

(10) 下線部hの方程式をつくりなさい。

4x+3y=680+280

または,4x+3y-680=280

(11) 下線部iに必要なのは上記のどれなのかを示し,答えも求めなさい。

解答で記述が必要なのは(1),(2),(4),(5),(10)で,答えはAのカップ水の量が120 ml,Bのカップの水の量が160 ml。