アステカ王国とインカ帝国の征服(その2)
インカ帝国の滅亡の背景にあるのはアステカ王国と同様『髭のある白人の神』の存在だったようです。アステカにおける神の名はケツァルコアトルで、インカのそれはヴィラコチャと呼び名は違うのですが、長く語り継がれていたその神たちの姿はあまりにも似すぎているのです。これらの神はもしかすると同じ神だったのでしょうか。それにしても、宗教としての信仰や伝説によって、インディオたちに疑いもなく信じられていた『神=髭の白人』という強烈なイメージが、スペイン人による征服を許す大きな要因だったとは、歴史というものは必然なのか偶然なのかよくわかりません。もっとも、ラッキーなだけのような偶然に恵まれて歴史に名を残すことになったコルテスとピサロのその後に幸運は訪れなかったようで、コルテスが望んでいた征服地の統治権が彼に授与されることはなく、ピサロにいたっては征服者同士の争いから暗殺されてしまうのです。彼らに対する神々のたたりだとする声も聞こえてきそうです。